Jeffrey Garcia, Austin Dodge, Paul Luepke, Hom-Lay Wang, Yvonne Kapila, Guo-Hao Lin. Effect of
membrane exposure on guided bone regeneration: A systematic review and meta-analysis. Clin Oral
Implants Res. 2018 Mar;29(3):328-338. PMID: 29368353
インプラントをしっかり支えるためには、十分な骨の厚みや高さが必要です。もし骨が足りない場合には、「骨造成(こつぞうせい)」という手術を行って、インプラントを支えられるだけの土台を整えます。
この骨造成では、「メンブレン」と呼ばれる特殊な膜を使います。この膜は、骨をつくる細胞が働くためのスペースをしっかり守る、大切な役割を持っています。ところが、このメンブレンが術後に露出してしまうと、骨の再生に悪い影響が出る可能性があるのです。
2018年に発表された世界的な研究では、メンブレンが露出してしまった場合と、そうでない場合の治療結果を比べたところ、骨の増え方に明らかな差が見られました。特に骨が大きく失われていた部分では、メンブレンがしっかり覆われていたほうが、およそ7割も多く骨が再生していたのです。
なぜ、こんなに差が出るのでしょうか?それは、メンブレンが口の中に見えてしまうと、細菌が入り込むリスクが一気に高まるからです。露出してからたった1週間ほどで、膜の表面に細菌が付き始め、3週間もすれば膜の内側まで入り込んでしまいます。そうなると、せっかく作った空間が壊れてしまい、骨の再生も進まなくなってしまうのです。
最近は、自然に吸収されるタイプのメンブレンも使われていますが、それでも露出してしまうと感染や分解が進みやすくなるという報告があります。どんなメンブレンでも、しっかり歯ぐきの中に閉じ込めておくことが大切です。
ひのまる歯科では、このようなトラブルを防ぐために、手術の際は小さな部分まで丁寧に確認しながら処置を行っています。また、術後の経過観察もこまめに行い、万が一膜が見えてきた場合にも、できるだけ早く対応できるようにしています。
骨造成やインプラントをお考えの方で、「傷が開いたらどうしよう」「感染が怖い」と不安を感じている方は、どうぞ安心してご相談ください。治療の一つひとつに、細やかな配慮を込めて取り組んでいます。