Machtei E, Zubrey Y, Yehuda A, and Soskolne W:
Proximal bone loss adjacent to periodontally “hopeless” teeth with and
without extraction. J Periodontol 60: 512-515, 1989.
この研究は歯周病がかなり進行して、歯を残して機能させることが絶望的と診断された歯の隣の歯について調査したものです。
二つのグループに分けて、
絶望的な歯を抜歯したグループと、歯を抜かずに何も治療をしなかったグループに分けられた。
そして平均4年間の経過を観察行った結果です。
歯を残すことが絶望的なまま無理に残して何も治療をしなかった場合、隣の歯の骨が10倍のスピードで失われました。
「できるだけ歯を抜きたくない」
このお気持ちは、多くの患者さんが持たれていると思います。
そして私たち歯科医師も、もちろん可能な限り歯を残したいと願っています。
けれど、この研究結果を見たとき、考えさせられました。
すでに重度に進行し、支える骨のほとんどが失われた歯を何も治療をせずに残すことで、隣の歯の骨まで壊れてしまう可能性があるのです。
「その歯をどうするか」は、「その隣の歯をどう守るか」ということにもつながっています。
一番大切なのは、今残っている健康な歯を守ること。
そのための判断を、私たちは誠実に伝えていきたいと思っています。
ひのまる歯科では、歯を「残す」か「抜く」かの判断を、単なる見た目や希望だけでは決めません。
その歯が今後どう影響を与えるか、そして隣の歯を守れるかどうかを慎重に評価します。
状態が厳しく、機能を維持するのが難しいと判断される歯に対しては、無理に残すのではなく、周囲の健康な歯を守るための治療を提案します。
一つの歯にとらわれるのではなく、口全体の健康を長く守るための判断を、一緒に考えていきたいと考えています。
歯を残すことも、抜くことも、その人の未来のための選択肢だと私たちは捉えています。