Machtei E, Hirsch I. Retention of Hopeless Teeth:
The Effect on the Adjacent Proximal Bone Following Periodontal Surgery.
J Periodontol 2007, 78: 2246-2252.
この研究は、110本の絶望的な状態の歯について、抜歯をした場合と徹底的な治療とメンテナンスを行った場合の隣の歯の骨の状態を比較した結果です。
ただし、歯周病を悪化させる全身疾患がなく、非喫煙者であるという条件がついています。
抜歯をするか、残すかは患者さんが自由に選びました。
結果、絶望的な状態の歯でも徹底的な治療とメンテナンスを行えば、隣の歯の骨は僅かに失われる程度だった。
「もう抜いた方がいいかもしれません」
そうお伝えしなければならないとき、いつも私の中で葛藤があります。
でも、この研究を読んで改めて感じたのは、「たとえ状態が厳しくても、きちんと治療をすれば歯を守れる可能性がある」という希望でした。
今回の研究では、重度の歯周病でほとんど骨が失われていた歯であっても、徹底的な治療を行うことで骨の状態が改善し、しかもその隣の歯にも悪影響が殆ど出なかったことが示されています。
すぐに「抜く」という判断をするのではなく、歯の周囲にある可能性と、患者さん自身の希望に耳を傾けながら、丁寧に選択していくことの大切さを実感しました。
当院の治療方針
当院では、たとえ「残すのが難しい」と判断される歯であっても、治療の選択肢がある場合にはすべて丁寧にご説明しています。
徹底的な治療によって改善が見込める可能性がある場合、そのリスクと期待できる効果を、画像や資料を使ってわかりやすくお伝えしています。
「この歯を抜かずに済む方法はありますか?」という患者さんの声に、正面から向き合うこと。
そして、患者さん自身が納得して選べるように、必要な情報を誠実にお届けすること。
その先にあるのは、歯一本ではなく、口全体の未来だと考えています。
ひのまる歯科は、あきらめる前にできることを、一緒に探していきたいと思っています。
千駄木近隣にて、お口の健康や歯周病について不安なこと、気になることがある方は是非一度ご連絡ください。