Caffesse RG, Sweeney PL and Smith BA. Scaling and root planing with and
without periodontal flap surgery. J Clin Periodontol 1986; 13:205-210.
およそ40年前の研究結果です。
この研究は、抜歯予定の歯に対して歯周外科を行って歯石の除去を行った場合と、歯周外科を行わずに歯石の除去を行った場合とを比較したものです。
歯石の除去を行った後に予定通りに抜歯を行い、歯石が残っている部位をカウントしました。
結果、歯周ポケットが3mm以下であれば、歯周外科を行わなくても十分に同じだけ歯石の除去は行えた。歯周ポケットが4mmを超えると差が出始めた。
この研究では、歯石が僅かでも残っていたらカウントしています。また歯石除去後は抜歯をしているので、その後にどれくらい治ったのかはどれくらい歯が長持ちしたのかについては、調べていません。物理的に歯科医師の技術的にポケット内の歯石がどれくらい取れるのかを調べたものです。
歯周病の治療では、歯茎の深いところの歯石と歯垢の除去がよく行われます。
しかし、歯周ポケットが深くなると、この処置だけでは歯石を取り切れないことがあり、歯周外科(歯ぐきを開いて行う治療)が必要になる場合があります。歯周外科が必要か否かの境目を様々な方向から検証する時の基準の一つとしてこの研究を参考にしています。
この研究を読んで改めて感じたのは、「深い場所の歯石ほど残りやすい」という現実です。
たとえば、歯周ポケットが3ミリ以下であれば、ほぼ問題なく歯石が除去できることがわかっています。
しかし、ポケットが4ミリ以上になると話は変わってきます。ポケットが深くなるほど器具が届きにくくなり、実際にこの研究でも、4~6ミリの深さでは非外科で43%、外科手術をした場合で76%の除去率という差が出ています。
深い場所におおくの歯石が残ったままだと、治療後も炎症が続いたり、歯ぐきが回復しにくくなったりします。
私は、歯石を「取った」ことよりも「その治療がどれくらい歯の長持ちに効果的であるか」に目を向けて判断することが大切だと考えています。
ひのまる歯科では、歯周ポケットの深さを1本ずつ丁寧に測定したうえで、歯石除去だけで十分か、それともフラップ手術を検討すべきかを慎重に見極めています。
特に、ポケットが4ミリ以上の部位については、歯石の取り残しが起こりやすいため、患者さんと相談しながら、より精密な治療を行うかどうかをご説明します。
また、深いポケットに対して手術を行う場合でも、歯ぐきのダメージを最小限に抑えるよう配慮し、治癒の過程も丁寧にサポートしています。
「見えないところまで届く治療をすること」
それが、歯周病の再発を防ぎ、歯を守り続けるために欠かせないポイントです。
千駄木近隣にて、お口の健康や歯周病について不安なこと、気になることがある方は是非一度ご連絡ください。