Badersten A, Nilvéus R and Egelberg J. Effect of nonsurgical periodontal
therapy: II. Severely advanced periodontitis. J Clin Periodontol 1984; 11:63-76.
この研究も40年前のものです。
歯周病の治療を行う時の歯石除去について、どんな道具を使用するかで結果が変わるのかを調べたものです。
深いところの歯石除去のために使用する器具で、ハンドスケーラーと超音波スケーラー(現代では一般的に使用されている、超音波と水の出る歯石除去のための道具です)で効果に差があるのかを調べたものです。
結果は、どちらも明確な違いはなかった。
歯茎の状態の改善はどちらも6~9か月ほど続いた。
歯周外科を行うか否かは、その時期まで待った方が適切なのではないかと思われた。
この研究で私が印象に残ったのは、「治療後すぐに結果が出なくても、6~9ヶ月かけて歯ぐきがゆっくり回復していく」という点でした。
また、手用のハンドスケーラーと超音波スケーラーを比較した結果、どちらも同じように効果があったこと。
歯ぐきの腫れや出血が少しずつ落ち着いていき、深いポケットが浅くなっていく様子は、まるで体がじっくりと治ろうとしているようでした。
治療後すぐに結果が見えなくても、「ちゃんと回復は始まっている」ことを患者さんと共有できたら、お互いに安心して経過を見守れると思います。
ひのまる歯科では、歯周病の治療では深いところの歯石除去を行う初期治療を大切に考えています。
歯周病が進行している場合でも、いきなり手術に進みません。まずは非外科処置でどれだけ状態が改善するかを6~9ヶ月かけて見ていきます。
また、ハンドスケーラーと超音波スケーラーは、それぞれの利点に合わせて使い分けていますが、どちらかに偏ることなく、丁寧に処置を行うことを最優先にしています。深いところの歯石除去の時には、超音波スケーラーで取れるだけ取り、どうしても取り切れない深いところの小さな歯石除去の時にだけ、ハンドスケーラーを使うというような使い分けをしています。
治療の「次の一歩」を焦らず、今の回復を信じて進めることが、結果的に歯を守る近道になると私たちは考えています。
千駄木近隣にて、お口の健康や歯周病について不安なこと、気になることがある方は是非一度ご連絡ください。