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2025.06.03

インプラントは「強く締めれば安心」ではない?骨に適した力加減とは

Antonio Barone, Fortunato Alfonsi, Giacomo Derchi, Paolo Tonelli, Paolo Toti, Saverio
Marchionni, Ugo Covani. The Effect of Insertion Torque on the Clinical Outcome of Single Implants:
A Randomized Clinical Trial. Clin Implant Dent Relat Res. 2016 Jun;18(3):588-600. PMID: 26043651

インプラント治療では、あごの骨に人工の歯根を埋め込む際、「どれくらいの力で締め付けて固定するか(埋入トルク)」が成功に大きく関係すると考えられてきました。特に「しっかり固定されていれば安心」というイメージから、高いトルクで埋め込まれた方が良いと思われがちです。

しかし実際には、強すぎる力がかえって骨や歯ぐきにダメージを与えてしまう場合があることが分かってきました。

イタリアの研究グループが行った調査では、十分に治癒したあごの骨にインプラントを埋め込む際、通常の力(平均30ニュートンセンチメートル)と、高い力(平均69ニュートンセンチメートル)で埋入したケースを比較しています。その結果、1年後の時点で高いトルクで埋入されたインプラントの方が、骨の吸収量が多く、歯ぐきの下がり(退縮)も大きかったというデータが得られました。

とくに、1.5ミリ以上の骨の吸収があったケースや、歯ぐきが1ミリ以上下がったケースは、高いトルクの方に多く見られました。

この結果から、「強く締めるほど良い」という従来の考え方が、必ずしも正しくないことがわかります。むしろ、骨や歯ぐきに優しく、必要以上に圧をかけない埋め込み方法の方が、インプラントが長持ちしやすいとも言えます。

ひのまる歯科では、患者さんの骨の状態や年齢、全身の健康状態を見ながら、その方にとって最も安全で負担の少ない方法を選んでいます。力任せにではなく、理にかなった治療こそがインプラントを長持ちさせる鍵です。

治療を受ける際に不安がある方は、どうぞ遠慮なくご相談ください。一緒に、納得できる治療計画を立てていきましょう。

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