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2025.06.06

インプラントの骨との結びつきは表面のざらざら感で変わる?

Ann Wennerberg, Tomas Albrektsson. Effects of titanium surface topography on bone integration: a
systematic review. Clin Oral Implants Res.2009 Sep:20 Suppl 4:172-84. PMID: 19663964

インプラントは、歯がなくなった場所に人工の歯根を埋め込む治療法です。このインプラントが骨としっかり結びつく現象を「オッセオインテグレーション」といいます。成功するためには、インプラントがしっかり骨にくっつくことがとても大切です。

その「くっつき方」に大きな影響を与えるのが、インプラントの表面のざらざら具合です。2009年に発表された世界的な研究では、100本以上の論文を分析し、表面の性状と骨の反応との関係が詳しく調べられました。

結果として、インプラントの表面がつるつる(滑沢)なほど、骨との結合はゆるやかで、ざらざら(粗い)なほど、骨がしっかりくっつく傾向があることが分かりました。

具体的には、以下のような違いがあります。

・つるつるの表面(Sa0.5μm以下):骨の反応は弱め

・中くらいのざらざら(Sa1〜2μm):最も骨との結合が安定しやすい

・とても粗い表面(Sa2μm以上):やや強い結合を示すが、データにばらつきあり

この「Sa」というのは、インプラント表面のざらざら具合を3次元で平均的に測った数値で、数字が大きいほど粗くなります。特にSa1〜2μmくらいの、いわゆる「中くらいの粗さ」が、最も良い反応を示しやすいとされています。

ただし、注意点もあります。表面のざらつきが強すぎると、細菌がとどまりやすくなってしまう可能性もあり、必ずしも粗ければ粗いほど良いというわけではありません。

また、表面の処理方法によっても違いがあります。たとえば以下のようなものです。

ブラスト処理:砂のような粒で表面を吹き付ける方法。骨との結合は良好。

酸処理:表面をさらに細かくエッチングしてざらつきをつける方法。骨への反応がより強まる。

酸化処理:インプラント表面に酸化膜を作り、より強い骨の反応を引き出す方法。

実際の治療では、これらの技術を組み合わせたインプラントが使われており、治癒中でもしっかり骨とつながるよう工夫されています。

ひのまる歯科では、患者さんの骨の質や状態に応じて、どのタイプのインプラントが適しているかを丁寧に判断しています。ただインプラントを選ぶのではなく、表面性状まで含めて最適なものを選ぶことが、治療の成功と長持ちのカギとなります。

インプラント治療をご検討中の方は、まずはご自身の骨の状態を知るところから始めてみてください。千駄木での安心できるインプラント治療をご希望の方は、いつでもご相談ください。

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