J Jiménez Garcia, S Berghezan, J M M Caramês, M M Dard, D N S Marques. Effect of cross-linked
vs non-cross-linked collagen membranes on bone: A systematic review. J Periodontal Res. 2017
Dec;52(6):955-964. PMID: 2861795
インプラントをしっかり支えるには、十分な骨の厚みが欠かせません。もし骨が足りない場合には、骨を再生させる治療(GBR:ガイデッド・ボーン・リジェネレーション)を行います。このときに使うのが「コラーゲン膜」と呼ばれる薄い膜です。
このコラーゲン膜には大きく分けて2種類あります。ひとつは、体に吸収されるけれども比較的短い期間で分解される「非架橋膜(ひかきょうさくまく)」、もうひとつは、特殊な処理を加えることで耐久性を高めた「架橋膜(きょうさくまく)」です。
では、どちらがより骨の再生に適しているのでしょうか?
世界中の研究をまとめたシステマティックレビューでは、これら2つの膜を比べた9件の臨床試験が分析されました。結果として、どちらの膜も4〜6か月後には十分な骨の再生が確認されました。非架橋膜では骨の再生率が46%〜94%、架橋膜では44%〜92%と、どちらも非常に良好な結果が出ています。
ただし、注意が必要なのは「術後の膜の露出」です。これは、手術した部分の歯ぐきがうまく閉じず、膜が口の中に見えてしまう状態です。これが起きると、細菌感染のリスクが高まり、骨の再生がうまくいかないことがあります。
統計的には明確な差とは言えないものの、全体として架橋膜のほうがやや露出しやすい傾向があるという報告があります。特に一部の架橋膜では、露出率が50%を超えたという研究もありました。また、炎症や腫れ、感染といった合併症も、架橋膜でやや多く報告されています。
では、非架橋膜の方が良いのでしょうか?実は一概には言えません。非架橋膜は自然に分解されやすいため、骨ができる前に膜がなくなってしまうリスクもあります。逆に、架橋膜はしっかりと空間を維持できるため、大きな骨欠損や時間がかかるケースには適していることもあります。
ひのまる歯科では、患者さん一人ひとりの骨の状態や手術の難しさに応じて、最適な膜を選んでいます。また、手術後の経過観察を大切にしており、もし膜の露出が見つかった場合も、できるだけ早く対応することで、骨の再生を妨げないよう心がけています。
インプラントの土台づくりは見えにくい部分ですが、将来の安定した噛み合わせのためにはとても重要です。骨の再生について気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。