C H Hämmerle, U Brägger, W Bürgin, N P Lang. The effect of subcrestal placement of the polished
surface of ITI implants on marginal soft and hard tissues. Clin Oral Implants Res. 1996 Jun;7(2):111-9.
PMID: 9002829
インプラント治療をご検討中の方にとって、「どこにどのようにインプラントを入れるか」はとても大切なテーマです。特にインプラントの埋入深度は、見た目だけでなく、将来的な骨の吸収(骨が減ること)にも大きく関係します。
今回ご紹介する研究は、スイス・ベルン大学のHämmerleらによって1996年に発表されたもので、「インプラントの滑らかな表面(研磨面)を骨の中に埋め込むと、骨の吸収が進むリスクがある」という重要な知見が得られました。
この研究では、11名の患者に対して合計22本のインプラントが埋入されました。通常通りに埋めたグループ(コントロール群)と、あえて滑らかな部分を骨の中に1ミリ沈めて埋めたグループ(テスト群)とで、1年間の経過を比較したところ、テスト群では通常の2倍以上の骨吸収が起きていたという結果が出ました。
これは何を意味しているのでしょうか?
見た目を優先して、金属の境目が歯ぐきから見えないように深く埋め込みすぎると、その代償として骨が大きく失われてしまう可能性がある、ということです。特に、インプラント 埋入深度が深すぎると、かえってインプラントの長期的な安定性を損なってしまうのです。
インプラント治療において骨の健康は極めて重要です。治療後も長く快適に使えることはとても大切です。そのため、見た目だけでなく、どの深さに、どの位置に、どんな設計のインプラントを選ぶかという判断が重要になります。
ひのまる歯科では、事前にCT検査を行い、骨の厚みや質、歯ぐきの状態を丁寧に分析します。そのうえで、骨に優しい埋入深度と、長期的に安定するインプラント設計を選択しています。
また、滑らかなインプラントのネック部分は「骨の上にくるように」配置することで、骨が不必要に吸収されるリスクを避けることができます。このような工夫をひとつひとつ重ねていくことで、「長持ちするインプラント治療」が実現できるのです。
千駄木でインプラントをご検討の方は、治療後の見た目だけでなく、骨を守るための埋入方法にも目を向けてみてください。見えない部分にこそ、医療の本質があります。
気になることがあれば、いつでもお気軽にひのまる歯科までご相談ください。