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2025.06.14

インプラントの長持ちには“アバットメントの長さ”が関係する?最新の研究からわかること

Péter Tajti, Eleonora Solyom, Szilárd Váncsa, Péter Mátrai, Péter Hegyi, Gábor Varga, Péter
Hermann, Judit Borbély, Anton Sculean, Krisztina Mikulá. Less marginal bone loss around bone-level
implants restored with long abutments: A systematic review and meta-analysis Periodontol 2000. 2024
Feb;94(1):627-638. PMID: 37766634

インプラント治療を受ける際、「どんなインプラントを選ぶか」だけでなく、「その上にどんな部品を使うか」も、長期的な成功に大きな影響を与えます。今回ご紹介するのは、インプラントの“アバットメント”の長さと骨の安定性に関する最新の研究です。

「アバットメント」とは、インプラント(人工の歯の根)の上に取り付けられる土台のことで、その上に人工の歯(クラウン)が乗ります。歯ぐきの中に埋まって見えない部分ですが、ここがとても大切な役割を担っています。

2024年に発表された国際的な研究では、アバットメントの長さがインプラントの周囲の骨にどのような影響を与えるかについて、過去の臨床研究を分析し、まとめています。

この研究では、ボーンレベルインプラント(骨の高さに合わせて埋め込むタイプ)において、長いアバットメントを使った場合と、短いアバットメントを使った場合の比較が行われました。

結果としては、次のような傾向が見られました。

長いアバットメントを使用したインプラントでは、6か月後および1年後の骨吸収量がわずかに少なかった

・プロービングによる出血やポケットの深さ(歯周病の指標)には明確な差はなかった

・骨吸収の差は統計的に有意ではなかったが、長いアバットメントの方が骨が安定しやすい傾向が見られた

この違いの理由として、研究では「軟組織の厚み」と「マイクロギャップの位置」に注目しています。短いアバットメントでは、歯ぐきの厚みが足りず、炎症の原因となる隙間(マイクロギャップ)が骨の近くに位置しやすくなり、その結果として骨吸収が進む可能性があると指摘されています。

ひのまる歯科では、アバットメントの長さや歯ぐきの厚み、骨の状態を丁寧に診断した上で、最適な治療法を提案しています。

とくに、インプラント治療後の骨の安定性や、長期的な予後の良さを重視する方には、このアバットメントの選択は見逃せないポイントです。

ひのまる歯科では、骨や歯ぐきの状態、体質に合わせた個別の提案を行い、長く安心して使えるインプラント治療を目指しています。

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