〜インプラント でブリッジ治療をご検討中の方へ〜
インプラントを数本使って複数の歯を補う「インプラントブリッジ(固定式の連結冠)」は、見た目の美しさと機能の回復を両立できる治療法として広く行われています。その上部構造にどの素材を使うかによって、長期的な耐久性やトラブルの頻度が変わることがわかってきています。
今回は、インプラント 治療をご検討中の方に向けて、最新のシステマティックレビューに基づいた情報をお届けします。
【これまでの主流はメタルセラミック】
これまで、インプラントブリッジの素材としてはメタルセラミック(PFM)がゴールドスタンダードとされてきました。金属の強度とセラミックの審美性を兼ね備えており、長年にわたり安定した結果が得られてきた実績があります。
しかし近年、金属価格の高騰や製作にかかる工程の多さ、さらにはデジタル技術の進歩を背景に、ジルコニアなどの高強度セラミックがその代替として注目されています。
【インプラント ブリッジの素材ごとの生存率比較】
今回紹介するレビューでは、12か月以上の追跡期間を持つ臨床研究のうち、42の試験群を含む32の研究が分析されました。主な素材とその3年生存率は以下のとおりです。
・メタルセラミック(PFM):98.3%
・ベニア付きジルコニア(Zr):97.5%
・一体成型ジルコニア(モノリシックまたはマイクロベニア):98.9%
・二ケイ酸リチウム:97.0%
これらの数値はすべて高く、インプラント ブリッジにどの素材を選んでも、生存率の差は統計的に有意ではないという結果が示されました。
【チッピングに要注意:ベニア付き vs 一体成型】
特に注目すべきは、セラミックの破折やチッピングのリスクです。審美性を高めるために外側に陶材(ベニア)を焼き付けたジルコニア製ブリッジは、一体成型のモノリシックジルコニアと比べて、破折やチッピングの頻度が有意に高いことが報告されています。
つまり、「見た目をとことん追求したい」という理由でベニア付きジルコニアを選ぶ場合には、破折リスクが多少高くなる可能性を踏まえた判断が必要です。
【PFMと一体型ジルコニアは安定感が高い】
従来型のメタルセラミック(PFM)と、最近注目されている一体型ジルコニアは、いずれも3年の時点で高い生存率と比較的低い合併症率を示しており、実際の診療でも安心して使用されています。
また、PFMの連結冠(iSpC)とPFMのブリッジ(iFDP)との間でも、生存率や合併症に大きな差はなかったため、補綴設計についても症例に応じた柔軟な対応が可能です。
【インプラントでの素材選びのヒント】
「どの素材が一番良いのですか?」というご質問は、千駄木エリアで治療をご検討中の方からもよくいただきます。
実際には、「どれが一番」ではなく、「どの方にとってどれが最適か」が重要です。
・見た目の美しさを第一に考えるなら → ベニア付きジルコニア
・力が強く、奥歯の咬合がしっかりしている方 → 一体型ジルコニアまたはPFM
・ブリッジの耐久性を重視したい方 → 一体型ジルコニアが有望
ご自身の噛み合わせの状態や、審美面の希望、予算なども含めて総合的に判断していく必要があります。
【ひのまる歯科では】
ひのまる歯科では、最新の研究に基づいたご提案を行っています。特にインプラントブリッジにおける素材選びについては、咬合力や骨の状況、清掃性、審美性など多角的に検討し、患者さん一人ひとりに合ったプランをご提案しています。
ブリッジや連結冠の素材選びで迷ったら、ぜひ一度ご相談ください。納得のいく選択をサポートいたします。