Jan Derks, Alberto Ortiz-Vigón, Adrián Guerrero, Mauro Donati, Eriberto Bressan,
Paolo Ghensi, Dennis Schaller, Cristiano Tomasi, Karolina Karlsson, Ingemar
Abrahamsson, Yuki Ichioka, Carlotta Dionigi, Erik Regidor, Tord Berglundh.
Reconstructive surgical therapy of peri-implantitis: A multicenter randomized controlled
clinical trial. Clin Oral Implants Res. 2022 Sep;33(9):921-944. PMID: 35804491
インプラントを長く健康に保つためには、インプラントの周囲に炎症が起こらないよう、丁寧なケアとメンテナンスが欠かせません。しかし、万が一インプラントの周囲に炎症が起きてしまった場合、「インプラント周囲炎」として治療が必要になります。
ひのまる歯科でも、こうしたご相談は年々増えています。
今回は「インプラント周囲炎 再生治療」の可能性について、多施設で行われた無作為化臨床試験の結果をご紹介します。研究の目的は、インプラント周囲炎の外科治療において、骨補填材を使用することでどれほどの効果があるのかを検証することでした。
138名の患者がこの研究に参加し、147本のインプラントが治療対象となりました。治療法は、歯肉を開いて掃除するだけの方法(アクセスフラップ手術)と、そこに人工の骨材を加える方法(再建手術)に分かれて行われました。
治療から1年後の結果として、ポケットの深さ(PPD)の改善や骨の吸収量(MBL)はどちらの治療法でも同じ程度改善していました。具体的には、ポケットは平均3.7mm減少し、骨の再生は約1mmほど認められました。
歯ぐきの見た目に関しては、骨補填材を使ったグループの方が、わずかに歯ぐきの下がり方が少なかったものの、全体として治療の成功率に明確な差は出ませんでした。
また、治療を受けた患者の満足度や痛みに関する感想(患者報告アウトカム)も両グループで大きな違いはなく、手術方法に関係なく効果は得られていたことが示されています。
この研究から分かることは、骨を補う治療が絶対に必要というわけではないということです。患者さんごとに歯ぐきの状態や骨の形、炎症の進行具合は異なります。そのため、地域のかかりつけ歯科医院でのきめ細かな診査が大切になります。
ひのまる歯科では、患者さん一人ひとりの状態を丁寧に診査し、必要に応じて再建治療やメンテナンス方法をご提案しています。
もし、インプラントの周囲に違和感や腫れ、出血があると感じたときは、できるだけ早めにご相談ください。早期発見と適切な処置が、将来的なトラブルの予防につながります。