Westfelt E, Rylander H, Dahlen G, Lindhe J: The effect of
supragingival plaque control on the progression of advanced
periodontal disease. J Clin Periodontol 1998; 25; 536-541.
「毎日ていねいに歯を磨いているのに、歯ぐきが腫れる」
「歯石は取ってるけど、歯周病がなかなか良くならない」
そんなお悩みをお持ちの方に知っていただきたいのが、歯ぐきの奥にある“見えない原因”です。
今回は、スウェーデンの研究チームが行った「歯ぐきの表面を掃除するだけで、歯周病は進行を止められるのか?」という実験をご紹介します。
歯ぐきの上だけを磨いても、進行は止まらなかった
この研究では、重度の歯周病患者12人に対して、
・一方の側は歯ぐきの上のケアだけ(歯磨き・スケーリング)
・もう一方の側は歯ぐきの上に加えて、歯ぐきの中の清掃(ルートプレーニング)も実施
という「左右で違う治療をする」というユニークな方法を用いて、3年間にわたり経過を観察しました。
歯ぐきの中まで掃除した側は、炎症と歯のぐらつきが大きく改善
両側ともに丁寧なブラッシング指導を受けていたため、歯ぐきの上のプラークはきれいに取れていました。しかし、それでも違いははっきりと出たのです。
・出血や炎症の改善率は、歯ぐきの中までケアした側の方が高い
・3mm以上の深い歯周ポケットの数は、歯ぐきの中までケアした側で大幅に減少
・歯を支える骨が減ってしまった場所の数は、表面のケアだけの側で4倍多かった
・歯周病の原因菌の数は、歯ぐきの中まで清掃した側でより大きく減少
この結果から、歯ぐきの表面だけを磨いても、歯ぐきの中に残った細菌が原因で病気は進行してしまうことが分かりました。
なぜ歯ぐきの中まで掃除する必要があるの?
歯周病は「見えない場所で起こる病気」です。
歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)にたまったプラークや歯石は、通常の歯みがきでは取りきれません。
こうした部分を放置すると、目に見えない細菌が歯ぐきの内側で炎症を引き起こし、やがて骨を溶かしていきます。
ですから、歯ぐきの中のケア(歯肉縁下のデブライドメント)が欠かせないのです。
ひのまる歯科では「今だけでなく10年後も守るケア」を行います
ひのまる歯科では、千駄木周辺の患者さま一人ひとりの歯周病の状態を丁寧に診査し、
・歯みがき指導と生活習慣の見直し
・必要に応じた歯肉縁下のクリーニング
・マイクロスコープを使った精密なチェックと記録
・将来的な歯の保存を見据えたご提案
を行っています。
ただ痛みを取るだけでなく、10年後もご自身の歯でしっかり食べられるように。それが私たちの治療方針です。
インプラントや抜歯を避けるには、早めの対応が大切です
もしもすでに「歯がぐらつく」「歯ぐきが下がってきた」と気になることがある方は、まずは歯周病の進行具合をしっかりと調べることをおすすめします。
進行が進む前であれば、抜歯をせずに済む可能性もあります。
まとめ
・重度の歯周病は、歯ぐきの中まで細菌が入り込んでいることが多い
・歯磨きや表面の掃除だけでは、炎症の進行を止めるのは難しい
・歯ぐきの中の清掃(歯肉縁下の治療)が必要なケースでは、早めの対応が大切
ひのまる歯科では、予防から治療までを一貫してサポートしています。
歯ぐきの違和感や出血に気づいたら、お気軽にご相談ください。