Kotsakis G, Lian Q, Ioannou A, Michalowicz B, John M, Chu H. A
network meta-analysis of interproximal oral hygiene methods in the
reduction of clinical indices of inflammation.
J Periodontol 2018; 89:558-570.
「歯と歯の間の掃除って、結局フロスと歯間ブラシどっちがいいの?」
これは、ひのまる歯科でもよくいただく質問です。
実はこの疑問に対して、近年の研究で少しずつ明確な答えが出てきています。今回は、歯ぐきの炎症や出血を減らす効果が最も高い歯間清掃法は何かを調べた世界規模の比較研究の結果をもとに、解説します。
多すぎる選択肢、はっきりしない根拠…
私たちは、日々いろんな道具に出会います。
-
フロス
-
歯間ブラシ
-
ウォーターピック(ジェット水流)
-
トゥースピック(歯間ようじ)
-
電動歯ブラシ
-
さらには、電動フロスまで…
でも、どれを選べば本当にお口に良いのか、わかりづらいですよね。
過去の研究は、同じ条件で比較されていないことが多く、「結局どれが一番いいのか?」をはっきり言えないことが多かったのです。
そんな中、信頼できる研究が登場
この研究では、複数の歯間ケア方法を横断的に比較できる「ネットワーク・メタアナリシス」という手法を使い、22本の信頼性の高い臨床研究を解析しました。
この方法によって、「違う研究でも、比較できるようになる」というのが大きな特徴です。
結果:歯間ブラシがもっとも効果的だった
この研究で評価されたのは次のような項目です:
-
歯ぐきの炎症(ジンジバルインデックス)
-
出血の有無(BOP)
-
プラークの付き具合(PCR)
その結果…
-
歯間ブラシが最も歯ぐきの炎症を改善した
-
ウォーターピックが次に効果的だった
-
出血を抑える効果は、「ようじ+徹底した指導」が最も高いとされたが、これはごく一部の研究に基づくため、慎重な解釈が必要
-
フロスは歯ぐきの炎症を大きく改善する結果は出なかった
つまり、歯間ブラシとウォーターピックが、お口の健康には特に効果的と考えられるのです。
フロスより歯間ブラシが効果的なのはなぜ?
歯間ブラシは、歯と歯の間にすき間がある人や、歯周病の治療を受けたことがある人にとって特に効果的です。
なぜなら、歯ぐきがやや下がっていたり、歯の間の形が三角形に広がっている場合、フロスでは届きにくいプラークまで歯間ブラシが届くからです。
一方、歯ぐきがしっかり引き締まっている人や、すき間がほとんどない若年層には、フロスの方が適していることもあります。
ひのまる歯科からのアドバイス
ひのまる歯科では、患者さん一人ひとりの歯ぐきの状態や歯の形に合わせて、最適な歯間ケア方法をご提案しています。
「歯間ブラシを入れると出血してしまう」「フロスを使うと歯ぐきが痛い」などのお悩みも、お気軽にご相談ください。
とくに、歯周病の治療後やメンテナンス中の方は、自己流のケアではなくプロの指導を受けることが大切です。
まとめ:自分に合ったケアを知ることが、歯を守る第一歩
・歯間ブラシは歯ぐきの炎症を抑えるのに最も効果的
・ウォーターピックも効果的だが、補助的な使い方が望ましい
・フロスはすき間の狭い部分や、健康な歯ぐきの人に向いている
歯の健康を守るには、「何を使うか」よりも「自分に合った方法を正しく使うこと」がいちばん大事です。
毎日のケアで悩んだときは、千駄木のひのまる歯科にぜひお越しください。10年後、20年後も健康な歯で過ごすために、今できることを一緒に見つけていきましょう。