虫歯と歯みがきの関係
歯に穴が空き、歯の色が黒くなり、酷くなれば痛みも出て歯を失ってしまう虫歯。この虫歯になってしまった時、
『歯みがきを十分にしなかったらだと歯医者さん怒られる!!』と心配になったり、もしくは、小さなお子さんを持つ保護者の方で
『あなたが虫歯になったら、私がちゃんと歯みがきしていなかったと思われるじゃないの!!早く口を開けなさい!!』
と、怒鳴ってしまい、泣いている子供の口を開けて歯みがきをさせる地獄の歯磨きを経験した方もいらっしゃるでしょう。
さて、虫歯になってしまう原因が全て歯みがきのように思われている方が多いのですが、その考え方は適切ではありません。
例えば『え?歯みがきとか超適当にしてるけど、全然虫歯にならないよ。』と驚くようなお話を聞くこともあるかと思います。(*虫歯になるならないは別にして歯みがきは大事ですよ。)
まず、虫歯とは歯の表面にいる虫歯菌が出す酸によって歯が溶かされること(脱灰)によって起こります。虫歯菌は、食べ物の中にある炭水化物や糖を栄養として吸収し、分解した時に酸を作ります。酸を出す虫歯菌が多いことと、菌のエサとなる炭水化物や糖を口にする回数(時間)が多いと歯を溶かす酸が多くなり虫歯になりやすいです。また、歯が酸によって溶かされてばかりだと、あっという間に無くなってしまうので、溶けてしまった歯は唾液中のリンやカルシウムによって元に戻る(再石灰化)性質があります。菌の出す酸による脱灰と唾液の成分による再石灰化は、食事の度に唾液が歯に触れる度に起こっています。また、フッ素を適切に使用する事で、再石灰化はより行われやすくなります。そして、脱灰に対して再石灰化が間に合わない時、歯が溶けて穴が空いたことを虫歯といいます。さらに、虫歯のなりやすさに応じた虫歯予防のための方法も研究され公開されています。
虫歯のなりやすいタイプとは?
- 現時点で虫歯がある
- 今までの虫歯治療が多い(特に過去3年以内)
- 過去の治療が不適切である(汚れが溜まりやすい形)
- 虫歯菌が多い
- 炭水化物や糖の含んだ間食が多い(1日3回以上)
- 歯茎が下がっている
- 唾液の量が少ない
- 歯の溝が深い
- 歯磨きが不十分である
歯を虫歯から守る方法
- フッ素入り歯みがき粉を使用する
- フッ素入り洗口液を使用している
- 定期的に歯科医院にて高濃度のフッ素を塗布する
- MIペーストを使用している
- 他にクロルヘキシジンという殺菌薬を使用する方法もありますが、効果のある濃度は日本の薬事法で認められていないため使用できません。
その昔には「虫歯になったのは、歯を磨かないから!!」と歯科医師から伝えられたこともあるかとおもいますが、虫歯になる原因も虫歯から歯を守る方法も、歯磨きが全てではありません。
もちろん、歯磨きは大切です。しかし最近の研究から歯磨きを十分に行っているだけでは、虫歯の予防にならないと判明しています。(希望があれば、原著をお渡しします)また、過去に治療した詰め物や被せ物の形が悪く汚れが溜まりやすい、もしくは歯にピッタリと合っておらず、縁に汚れが溜まっている状態だと、どんなに本人が頑張って歯を磨いても菌が繁殖しやすく、新たに虫歯が発生しやすいです。虫歯によって、溶けてしまった歯を削り、穴をふさぐだけでは虫歯の再発は防げません。また、失ってしまった歯の形を回復する(修復・補綴)時にも、質の高い治療を受けなければ、新たに虫歯が発生しやすくなります。つまり、虫歯の再発を防ぐには、現在よりも虫歯になりにくい生活習慣やフッ化物の使用をする。さらに治療も質の高い治療を受けることが大切です。
そして、研究から非常に虫歯になりやすいタイプがあることも解っています。どんなに徹底して歯を磨いても、食事の制限をしてもどんなにフッ素を使用しても適切な治療を受けても、虫歯の再発が起きてしまう方もいます。
現在、解っていることや「常識」と思われていることも研究が進むことで過去の物となることがあります。いまお伝えしていることも10年後20年後には、過去の物となっている可能性もあります。そのため、ひのまる歯科では常に勉強を続けて最新の情報を得ています。